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2016, 5月 18

クラウド経由で乗客数を自動集計

Eurotechは、イタリアのベルガモからアルビーノまでのトラムを運行するTEB社向けに、クラウドベースの自動乗客集計(Automatic Passenger Counting: APC)システムを提供しています。このシステムは、EurotechのEveryware Device Cloud (EDC) を採用しており、トラム内に設置されたモバイルデバイスから、クラウド・コンピューティングベースのアプリケーションへデータを転送し、乗降記録の統計を取っています。

TEB(Tramvie Elettriche Bergamasche)社が運営しているT1トラムウェイは、北イタリアの都市ベルガモとアルビーノの間を走る、地元コミュニティーにとって大切な交通手段で、16の停車駅があり、通勤時は特に混雑します。

TEB社は通勤時のピークと平常時との差を把握するため、T1トラムウェイの正確な乗客数の統計を取りたいと考えていました。そして今回、Eurotechの乗客集計デバイスによって、リアルタイムで車両の配置を最適化するルート計画が可能となりました。つまり、トラムが特に必要とされている時はそれに合わせ、逆に誰もいないようなときには、わざわざカラで走らせなくても済むのです。

TEBプロジェクトの公開入札は2010年11月に始まりました。提示された条件は厳しいものでしたが、Eurotechがそれを満たすことができると示し契約を勝ち取りました。決め手となったのはEurotechのパッセンジャー・カウンター DynaPCN の極めて高い検知精度でした。

要求精度をクリア

この乗客集計システムは、乗車口ごとに取り付けられたDynaPCNが、画像処理技術でトラムを乗降する乗客数をカウントするというものです。この言わば3Dカメラセンサ・デバイスユニットは、ドアの開閉状況を認識するデジタル入力や、トラムに実装されたパッセンジャー・カウンター・ゲートウェイと通信を行うRS485を備えています。また、このプラットフォームにはファストイーサネット、GPS、3GおよびWiFiの各機能があり、EDCクラウド経由でのデータ転送プロセスのローンチパッドとしても役割を果たします。

現地での検知精度試験は3日間に亘り実施され、T1トラムウェイのルート往復は50回にも上りました。そして、全体で8,000人以上の乗客の乗降を記録し、データの後処理なしでTEB社の目標を上回る高度なカウンター精度を証明しました。

この厳しい精度を達成した理由の一つが、混雑時の状況を判断できるDynaPCNの高い性能です。混雑時では乗車口が開いている際、乗客が車内の奥の方に移動せず、検知エリアに立ったままで居ることが多いので、新しく乗ってくる乗客との区別が非常に重要なポイントとなります。

DynaPCNユニットは堅牢で低消費電力というメリットがある他、埋込型となっているため、取付け後も目立たず気になりません。また、過酷な環境下で使用できるように設計されており、IP65およびEN50155 T1準拠の防塵・防滴性を持ち、-25.0度から+70.0度の広い温度範囲でも動作します。使用方法も形状も扱いやすいDynaPCNは、輸送事業者にバイタルデータをリアルタイムで提供するテクノロジーチェーンのきっかけとなることでしょう。

コストの最小化とフレキシビリティの最大化

これまでもEurotechは長年に亘り、世界中のバスや鉄道網への乗客集計システムの供給に携わってきました。今回のT1トラムウェイ向けにTEB社が採用しているシステムは、私たちのレガシーに基づいて構築されたものですが、既存の通信およびサーバー・インフラの代わりにクラウド・コンピューティングを採用したことは、この分野において真の付加価値を創造したと言えるでしょう。

新規開発とは、少なからずある特定のニーズに応えるために生まれるものですが、これはまさにその好例です。ところで、高いレベルの検知精度の要求に加えて、TEB社は以下2つの基準もクリアする必要があると定めていました。

  • 多額のインフラ費用を必要としないこと
  • トラム事業の将来を見据えたスケーラブルなものであること

複数の業界でビジネスを展開されるお客様の場合、このことはさらに検討すべき重要課題となっています。設備・資産とのリモート且つリアルタイムなアクセシビリティへの需要が高まる中、企業や団体は、データを生成、転送、記録、そして供給するという、柔軟でスケーラブルなインフラをますます必要としています。しかし多くの場合、たった1台のリモートデバイスを追加する以前に、インフラ構築が先行条件となってしまい、その費用を捻出する余裕はありません。そこでEurotechは、デバイスとクラウドをつなぐコンフィグレーションがその解決策と位置づけ、毎月固定のレンタル費用や、事前のインフラ費用不要といった、フレキシブルなサービスを提供しています。

また、クラウド・コンピューティングでは、電力グリッドのようなオンデマンドで共有資源を供給するという、インターネットベースのソリューションを提供しています。これはデータのセキュリティーを担保しながら、リモート・コンピューティングサイトへのアクセスを容易にするインターネットの特性を生かし開発されました。その結果、金融サービスからヘルスケアの他、幅広い分野にイノベーションをもたらしています。

EurotechのEveryware Device Cloudとは、Everyware Software Framework / Everyware Device Cloud Client / Everyware Cloudのそれぞれが持つサービスによって、「活きたデータ」を末端のアプリケーションやビジネスプロセス、ダッシュボード、レポートにまで届けるという、専用ハードウェアやコネクティビティ、デバイス管理などの機能を含む、エンドツーエンドのソリューションです。このEurotechの通信ソリューションこそが、無限にスケーラブルで経済的な手法と評価されTEB社に採用されました。クラウドとは、ユーザーの専門知識や管理を必要とせず、そのインフラ技術によってお客様をサポートする手段です。お客様は時間や場所を問わず、安全なプロトコル経由で、さまざまなリアルタイムの統計情報にアクセスすることができます。尚、データセキュリティは、EDCが持つ独自の冗長性によって強化されています。

ベルガモからアルビーノへのT1トラムウェイに提供されたDynaPCNシステムは、輸送アプリケーションのポテンシャルの高さを示す青写真となりました。Eurotechは、デバイスとクラウド・ソリューション、そしてこれまで培ってきた専門知識で、未来のフレキシブルでスケーラブルな輸送ネットワークの実現に向けてこれからも貢献していきます。

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